名フィル寺尾洋子様 Part2「習わぬヴァイオリンを弾く」

20

1.2016

楽譜

寺尾さん:ヴァイオリンをきちんと習い始めたのは
小学5年生からなんです。

ヒノヨコ:えー?
5年生!5年生って遅くないですか?

寺尾さん:それまで触ったりはしてましたが・・・。


ヒノヨコ:触ったりって・・・。

     プロフィールに4歳からと。


寺尾さん:「母の手ほどきで4歳よりバイオリンを始める」

あれは母への親孝行と感謝の一文なんですよ。


ヒノヨコ:え、親孝行と感謝の一文とは?


寺尾さん:「長年の母の夢のおかげで、私はちゃんと

音楽家になれましたよ」というような意味でですね。


ヒノヨコ:4歳から実際にお母様に教えてもらっていたのではないのですか?


寺尾さん:母はヴァイオリンの先生をしていたんですが、母の所に来ている生徒さんと違って、私のレッスン時間は元々確保されていなかったのです。たまーにちょっとした合間に「弾いてごらん」と言われて

弾くって感じで、教えてもらった記憶はないんです。


ヒノヨコ:えー?

「弾いてごらん」って言われて弾けるもんなんですか?

教えてもらえないんですか?


寺尾さん:うーん、多分ワンポイント的なものはあったと思うんですが、

きちんとしたレッスンでもないし、私も気が乗らないと言うこと聞かないし。みたいな感じで・・・。だから5年生で習い始めた時は大変でした。


ヒノヨコ:いやいや、まだ信じられません。


寺尾さん:当時2DKの県営住宅に住んでいて、母はそこで何人かに

ヴァイオリンを教えていたんです。

防音設備もない襖一枚向こうの部屋でです。


ヒノヨコ:え〜!襖の向こうでヴァイオリン教室!

赤ちゃんの頃からヴァイオリンの音を聞いていたってことですか?

いや、お腹にいる時から!


寺尾さん:はい。ですから「門前の小僧習わぬ経を読む」

みたいなところがありまして。


ヒノヨコ:ヒエー!(◎_◎;)スッすごいです!

環境ですね!

襖一枚の向こうから聞こえてくる音をすべてキャッチしていた!

習わぬ経ならぬ、習わぬヴァイオリンを弾く!

胎教から0・1・2歳そして幼児期の環境。

気がついたらヴァイオリンが弾けるようになっていたってことですよね。


寺尾さん:弾けるうちには入りませんが・・・。


ヒノヨコ:いやいや、

プロの方はそうおっしゃるかもしれませんが・・・。

それは4歳から始めたのではないですよね。

4歳の時にはすでにかなり弾けていたってことですね・・・。


寺尾さん:4歳の時どうだったかは覚えていませんが、一見弾けている風のナンチャッテヴァイオリンで

親の欲目もあって私は弾けているものと

母も騙されちゃっていたんですよね、きっと。


ヒノヨコ:うーむ、

おそらくお母様が思っている以上に弾けていたんですね。


寺尾さん:門前で放置されたまま

小学5年生になる時に子供オーケストラのオーディションを

母が見つけてきたんです。


ヒノヨコ:門前で放置されたまま(^_^;)子供オーケストラですか?

寺尾さん:「名古屋青少年交響楽団」です。

ヒノヨコ:もしかしてオーディションを受けられたんですか?

寺尾さん:はい。とりあえず訳もわからず受けてみました。

ヒノヨコ:オーディション!

どんな曲を弾かれたのですか?


寺尾さん:ザイツのヴァイオリン協奏曲です。

ザイツ!門前の小僧さんは習わずにザイツが弾けてしまったってことですか?寺尾さん:まあなんとか。

ヒノヨコ:まあなんとかって(^_^;)

他にも何か弾かれましたか?

寺尾さん:審査の先生から

「ヴィヴァルディの協奏曲以上の技術(ポジション移動)が必要ですが弾けますか?」と言われ、ちょっと弾いてみたことがあったので

その場でなんとなく弾いてみました。


なんとなくって(^_^;)

いやいや、私もすこしだけ子どもバイオリンの世界を

覗かせてもらったことがあるので

どのくらいのレベルかだけはわかります(^_^;)


普通ならザイツやヴィヴァルディが弾けるようになるってかなり練習しないと・・・。

いや、寺尾さんの場合、身体に染み込んでいたってことですかねえ。


それで結果はどうなったのですか?


寺尾さん:結果は・・・。





(ヒノヨコ:赤ちゃんの頃から

襖の向こうから聞こえてくる

ヴァイオリンの音を聞いて育った寺尾洋子さん。

きちんとしたレッスンを受けるわけでもなく

気がついたら難しい曲も弾けるようになっていたって・・・。


寺尾さんの才能と感の良さ!

そして

「乳幼児期〜の環境」


これが人生を左右する一因なんだと

あらためて感動した瞬間でした。



さて

子どもオーケストラを受けられた寺尾洋子さん

オーディション結果はどうだったのでしょうか?

お母様は夢を叶えるためにどんな行動をとられていたのでしょう?

そして寺尾さんのプロへの歩みは?)






「先輩ママに突撃インタビュー」目次


Part1:プロフィールの謎

Part2:習わぬヴァイオリンを弾く

Part3:親が夢をみるって〜想いは超えてゆく

Part4:人と人・音と音

Part5:保育園6年学童6年お父さん


名古屋フィルハーモニー交響楽団

ヴィオラ奏者 寺尾洋子さん

<PROFILE>

お母様の手ほどきで4歳よりヴァイオリンを始める

愛知県立明和高等学校音楽科から、

京都市立芸術音楽大学音楽学部器楽科に進学。

卒業と同時に名古屋フィルハーモニー交響楽団に入団。

ヴァイオリンを藤本明子、堀部純子、ヘリー・ビンダー、

ヴィオラを平田泰彦、西岡正臣、ジョン・グラハム、

室内楽を岩淵龍太郎、岸邊百百雄、黒沼敏夫の各氏に師事。